「おクジラさま ふたつの正義の物語」を観てきました。

 

渋谷のユーロスペースで、どうしても観たかった映画、「おクジラさま ふたつの正義の物語」を観てきました。写真は無いのですが、監督の佐々木芽生(めぐみ)さんが劇場の入り口で来場者にご挨拶しておられました。http://www.eurospace.co.jp/works/detail.php?w_id=000194

監督・プロデューサーの佐々木芽生(めぐみ)さんは1997年からニューヨーク在住、和歌山県太地町のイルカなどの追い込み漁を糾弾し、後にアカデミー賞を受賞した映画「ザ・コーヴ」を観て、その極端に偏狭的一方的な視点に疑問を感じ、また「イルカ殺しの町」として残虐だと批判され糾弾されている太地町側から、殆ど反論が出てこないことにも違和感を覚え、この映画では全く違う視点からカメラを向け続けています。

完成まで、6年の歳月をかけて完成した作品だそうで、現地には20回以上通い、途中、3.11東日本大震災により中断しつつも、クラウドファンディングで応援者より資金集めも達成したとのことー、因みに、このクラウドファンディング、目標額1500万円に対して2325万円の寄付(目標値155%)が集まり1825人の方が寄付に参加したそうです。https://a-port.asahi.com/projects/whalemovie/ 

このドキュメンタリー映画で佐々木監督は、捕鯨を巡り、和歌山県太地町の漁師と住民 VS 反捕鯨団体「シー・シェパード」の活動家、その二つの価値観を中立の立場で俯瞰するアメリカ人ジャーナリストー、こわもての政治団体の男の意見にも、公平にカメラを向けています。

瞬時に世界中に発信できるツイッターやfacebookなどのソーシャルメディアを使い、世界中の世論を味方につける反捕鯨の活動家たちと、それに戸惑い、こみ上げる怒りを抱えつつも、成す術もなく、沈黙を守り続ける小さな過疎の村の漁師や住民たちー。そこには「正義」VS「伝統」、あるいは「グローバリズム」VS「ローカリズム」といった現代社会が抱える深い問題も浮き彫りになってきます。

佐々木監督は、それをどちらが正義でどちらが悪という論法ではなく、映画を観たそれぞれの人が「新たな視点」を持つことに導くことであり、対立する価値観を言わば「広角レンズ」で俯瞰することで、世の中に、「違う意見を持ちながら共存することの大切さ」を語りかけています。佐々木監督は「自らを正義と信じ、ネットやSNSの使い方に長けた人の強い声は一瞬で世界に広まり、そうでない人の声はかき消される。ささやかだが映画が気づきになり、違う意見を持ちながら共存する大切さを感じてほしいんです。」と新聞のインタビュー記事でも答えておられます。

捕鯨を巡って、様々な視点と視線、それぞれの立場や思いが6年という年月を掛けて完成したこのドキュメンタリー映画を観て、私たちの活動にも相通じることを思いました。それは、

新たな視点や気付きを得ることの大切さ、

自分の思いや考えを押し付けず、さりげなく、様々な違う意見と共存することの大切さです。

捕鯨というテーマにとらわれず、多くの人に観て欲しいドキュメンタリー映画です。

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